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【ブサイク・鼻の高さが低い】顔の大きさや歪みは遺伝が関係あるのか?

男性

顔ってどのようにして決まるのだろうか?

皆さんは自分自身で自分の顔の特徴を理解していますでしょうか?

中には特徴のない顔と言われる人もいるでしょう。

そんな顔ですが、ヒトのDNAの130以上の領域が、顔の特徴を形成する役割を果たしていることが、新しい研究で明らかになりました。

特に鼻は、遺伝子の影響を最も受ける顔の特徴なのです。

特定の遺伝子と顔の特徴との関連性を理解することは、顔の奇形の治療や歯科矯正に役立つ可能性があります。

ですので今回は、遺伝と顔の関係についてご紹介していきたいと思います。

この記事でわかること

  • 遺伝子による顔の特徴の決定について

この記事を読むべき人

  • 顔と遺伝の関係を知りたい人

では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。

DNAと顔の外観

顔立ちが遺伝子で決まることは、当たり前のことだと思われるかもしれません。

家族のアルバムを見ると、祖父母、いとこ、叔父・叔母の鼻、目、あごが同じであることがわかったりもします。

もしかしたら、1つ以上の遺伝子に損傷を与えることで生じることが多い遺伝性症候群の人を見たり、知っていたりして、その特徴的な顔立ちに気づいたことがあるかもしれません。

驚くかもしれませんが、ごく最近まで遺伝学者は、DNAのどの部分が顔の外観の最も基本的な部分に関係しているのか、ほとんど理解していませんでした。

人と人との関わりにおいて、顔の見た目は非常に重要な役割を果たしているため、このような知識の欠如は非常に残念なことでした。

しかし、遺伝子情報と顔画像を組み合わせて測定できる大規模なデータセットが利用できるようになったことで、発見のスピードは飛躍的に向上しました。

疑問

では、顔の外見の遺伝については、どのようなことがわかっているのでしょうか?

DNAから人の顔を確実に予測することはできるのでしょうか?

また、健康や病気への影響はどうなのでしょうか?

人類学者と人類遺伝学者は、人間の顔の外観の類似性と相違性の背景にある生物学的要因を明らかにすることに焦点を当てた研究を行っています。

顔立ちに関係する遺伝子はいくつあるのか

最新の研究では、顔の形の特定の側面に関連する130以上の染色体領域が特定されました。

研究者

これらの領域を特定することは、遺伝が私たちの顔にどのような影響を与えているのか、また、そのような知識が将来的に人間の健康にどのような影響を与えるのかを理解するための重要な第一歩です。

研究者はこのように述べています。

研究内容

研究者は8,000人以上のDNAをスキャンして、約700万個の遺伝子マーカー(人間が変化する遺伝コード上の既知の位置)と、3Dの顔画像から得られる数十個の形状測定値との統計的な関係を調べました。

ある顔の特徴と1つまたは複数の遺伝子マーカーとの間に統計的な関連性が認められた場合、それは染色体上のDNAの非常に正確な領域を指し示しています。

ポイント

特に、胚の中で顔が形成されるときに活性化するなど、その機能に関する他の情報がある場合は、その領域の周辺にある遺伝子が、鼻や唇の形などの顔の特徴の有力な候補となります。

130以上の染色体領域は非常に多いと思われるかもしれませんが、これはまだほんの一部にすぎません。

何千もの染色体領域、つまり何千もの遺伝子が顔の形成に関与していると考えられます。

これらの染色体領域に存在する遺伝子の多くは、その影響が非常に小さいため、統計的な検出力が十分に得られない可能性があります。

遺伝子について

この130以上のDNA領域で関与している遺伝子をまとめてみると、興味深いパターンが浮かび上がってきました。

遺伝子の影響

鼻は、顔の中で最も遺伝子の影響を受けやすい部分です。

当然のことながら、食生活などのライフスタイルに大きく影響される頬などは、遺伝子の関連性が最も低いことがわかりました。

また、これらの遺伝子が顔の形に与える影響は、まったく一様ではありませんでした。

ある遺伝子は、顔の特定の部位に非常に局所的な影響を与えることがわかりましたが、別の遺伝子は、複数の部位を含む広範な影響を与えることがわかりました。

ポイント

また、これらの遺伝子の多くは、骨の形成など、私たちの体をつくる基本的な発生過程に関与しており、多くの場合、希少な症候群や口蓋裂などの顔の異常に関与する遺伝子と同じであることがわかりました。

このことは、多くの遺伝性症候群が手や顔の両方の奇形を特徴とする理由を解明する重要な手がかりとなるかもしれません。

また、顔の形に関わる遺伝子が、がんにも関与している可能性を示す証拠も見つかりました。

小児がんの治療を受けた患者には、特徴的な顔立ちが見られるという新たな証拠もあり、興味深い結果です。

DNAを採取して顔の正確な写真を作ることができるのか?

今も昔も、誰かがあなたのDNAを採取して、それを使ってあなたの顔のイメージを作ることはできないでしょう。

個人の顔の特徴を予測することは、複雑な遺伝的特徴と同様、非常に困難なことなのです。

誤解を恐れずに言えば、研究者たちが特定した130以上の遺伝子領域は、顔の形のバリエーションの10%以下しか説明していません。

しかし、仮に顔の外見に関わるすべての遺伝子を理解したとしても、予測は途方もない困難を伴います。

なぜなら、顔の形のような複雑な形質は、個々の遺伝子の影響を単純に合計して決まるものではないからです。

顔の形について

顔の形は

  • 年齢
  • 食生活
  • 気候
  • ホルモン
  • 外傷
  • 病気
  • 日焼け
  • 生体力学的な力
  • 手術

など、多くの生物学的および非生物学的な要因に影響されます。

これらの要因はすべて、まだ解明されていない複雑な方法で私たちのゲノムと相互作用します。

さらに、遺伝子は互いに影響しあっています。

これは「エピスタシス」と呼ばれ、その影響は複雑で予測不可能な場合があります。

DNAから顔の特徴を予測しようとした研究者が失敗したのは当然のことです。

このような予測が絶対にできないというわけではありませんが、もし誰かが今日、このようなことができると言っているのであれば、かなり疑ってかかるべきでしょう。

遺伝子と顔をつなぐ研究のメリット

21世紀の医療における最もエキサイティングな発展の一つは、患者の遺伝子情報を利用して個別の治療計画を作成し、健康上の成果を向上させることを究極の目標としていることです。

遺伝子と顔を繋ぐ研究のメリット

顔の成長のタイミングや速度に遺伝子がどのように影響するかをより深く理解すれば、歯列矯正や再建手術などの分野で治療計画を立てる際の貴重なツールとなります。

例えば、子供の顎の成長がピークに達する時期を遺伝学的に予測できるようになれば、歯列矯正医はこの情報をもとに、最大限の効果を得るために介入すべき最適な時期を判断できるようになるかもしれません。

同様に、顔の大きさや形を決定する遺伝子の働きを知ることで、顔の成長障害を改善するための薬物療法の新たな分子標的が見つかるかもしれません。

人間の顔を作る遺伝子についての知識が深まれば、先天性顔面奇形の根本的な原因について新たな知見が得られるかもしれません。

おすすめの本

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