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【今の若者は弱くてダメ?】「最近の若者は・・・」と発言する人たちの心理と最近の若者の特徴について

おじさん

最近の若者は・・・

上の世代の人たちに

  • 最近の若者は
  • これだからゆとり世代は

このように、若いからダメという批判をされたことのある若者は少なくないのではないでしょうか?

上の世代が若い世代について「最近の若者は・・・」と批判することは珍しくありませんが、実際には「若者は親世代よりも模範的である」というデータも示されているなど、客観的に若者世代が上の世代に劣っていることを客観的に示す証拠はありません。

では一体なぜ、大人たちが「最近の若者はダメだ」と思い込んでしまうのでしょうか?

そんな疑問に対して、カリフォルニア大学の研究チームが実験を行ったところ、「大人たちには下の世代が劣っていると考えやすい心理的効果が存在する」ことが明らかになりましたので、ご紹介したいと思います。

この記事でわかること

  • 若者をバカにする大人の心理について
  • 若者は親世代よりも模範的かもしれない理由について

この記事を読むべき人

  • 若者を批判してしまう人
  • 若さで批判される人
  • 若者を馬鹿にする心理を知りたい人

では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。

若者を批判する心理

人々は古くから若者批判を行ってきたといわれており、人間は少なくとも2600年間にわたり、「最近の若者たち」に対する苦情を言ってきました。

ジョン氏は上の世代が若者世代を批判しがちな現象について調べるため、まずは3つの実験を行いました。

実験1

1824人のアメリカ人を対象に、「最近の若者が上の世代に対して礼儀正しいと思うか、それとも無礼だと思うか」を調査しました。

実験2

最近の若者が上の世代より賢いか、賢くないか」を調査しました。

実験3

最近の若者は読書を好んでいるか、読書を嫌っているか」を調査しました。

結論

研究結果

その結果、3つの実験全てにおいて「参加者が自身の特性を高く評価すればするほど、若者のことを低く評価する」という傾向が明らかになりました。

つまり、「自分が年長者を尊重している」と考えている人は若者を無礼だと思い「自分が賢い」と思う人は若者を愚かだと思い「自分は本をよく読む」と信じる人は若者が読書嫌いだと思いがちだったことが、実験の結果から判明したのです。

実際には「若者が上の世代よりも読書離れしているという事実はない」という研究結果があるほか、世代が新しくなるにつれてIQが上昇していく「フリン効果」の存在も指摘されています。

そのため、実験において参加者が若者世代を低く評価したことについて、「参加者が客観的な真実を取り上げているわけではありません」とジョン氏は述べました。

さらに上の世代が若者世代に持つバイアスについて調べるため、新たに2つの実験を行いました。

実験4

3つ目の「最近の若者は読書を好んでいるか、読書を嫌っているか」を尋ねる実験を再現し、加えて

  1. 「今現在の自分はどれほど読書を楽しんでいるか」
  2. 「子ども時代はどれほど読書を楽しんでいたか」
  3. 「子ども時代、周囲の子どもたちのうち何人ほどが読書を楽しんでいたか」

これらを尋ねました。

結論

研究結果

この結果、自分自身が本をたくさん読んでいて、子ども時代に読書を楽しんでいたと考えている人々は、他の参加者よりも「子ども時代には多くの子どもたちが読書を楽しんでいた」と答える傾向がみられました。

この結果について、人々が子ども時代を「誤って記憶している」ことに起因すると主張します。

子どものころから読書が好きだった参加者は、周囲の子どもたちが読書をしていたことを記憶している可能性が高く、当時の読書の楽しさについてバイアスがかかっている可能性があるそうです。

実験5

1500人の新しい参加者に対して読解力テストを実施し、参加者にフィードバックを与えました。

しかし、テスト結果のフィードバックは研究チームが操作したもので、実際のテスト結果とは関係なく、ランダムに「あなたは全体の上位15%でした」もしくは「あなたは全体の下位15%でした」という結果が伝えられました。

その後、4つ目の研究と同様の質問を行いました。

結論

研究結果

読解力が低いと告げられた参加者は、「若者世代は読書嫌いである」という偏見が少なく、子ども時代に読書好きだった友人を思い出しにくい傾向がみられたそうです。

つまり、現在の自分自身に対する評価が、若者世代への評価や過去の記憶に影響することが確認されたというわけです。

これらの5つの実験の結果から、「心理的・精神的トリックがあるため、各世代は次の世代が劣っているように感じられます」と主張しています。

研究チームはこの心理的効果を、「the kids these days effect(最近の若者たち効果)」と名付けています。

最近の若者は模範的である

アメリカでは「若者の性の乱れを正すべき」という意識が高まり、高校生の行動をアンケート調査する「Youth Risk Behavior Surveillance Survey(YRBSS)」が1991年以来、隔年で行われています。

このYRBSSによって得たアンケート結果からは、最近の若者は思っているほどふしだらではなく、むしろ親世代よりも節度ある行動をとっていることがわかりました。

これからご紹介しますのは、1990年代前半に生まれた「近頃の若者」と、その親世代にあたる20年前に10代だった「かつての若者」の行動パターンを調査した結果です。

性行為

「3カ月以内に性行為をしたかどうか」という質問に対して「YES」と答えた割合は、

  1. 近頃の若者は34%
  2. かつての若者は37.5%

「初体験が13歳以前かどうか」という質問に対しては、

  1. 近頃の若者が5.6%
  2. かつての若者は10.2%

十代で子どもを産んだ女性の割合は、

  1. 近頃の若者が2.7%
  2. かつての若者は6.2%

避妊具(コンドーム)を着用する割合は、

  1. 近頃の若者が59.1%
  2. かつての若者が46.2%

避妊具(コンドーム)の着用率にそれほど差がないように感じるかもしれませんが、現在は昔よりも避妊方法がたくさんありますので、近頃の若者は、かつての若者よりもずっと適切な避妊を行っている可能性が高いです。

これらの性に関するアンケートからは、YRBSS実施のきっかけとなった「若者の性が乱れている」というのは単なる思い込みに過ぎないことが明らかです。

タバコ

10代の喫煙率は、

  1. 近頃の若者が15.7%
  2. かつての若者は30.5%

興味本位を含めてタバコを吸ったことがある人の割合は、

  1. 近頃の若者が44.1%
  2. かつての若者は70.1%

電子タバコの使用率は、

  1. 近頃の若者が8.8%
  2. 電子タバコがなかったのでデータなし

これらの調査から、近頃の若者の方がかつての若者に比べてタバコを吸わない傾向にあることが分かりました。

アルコールとドラッグ

お酒を飲んだことがある10代の割合は、

  1. 近頃の若者が66.2%
  2. かつての若者は80.9%

マリファナ経験者の割合は、

  1. 近頃の若者が40.7%
  2. かつての若者は31.3%

ただし、アメリカでは近年、マリファナが合法化された州がいくつかあることを考慮する必要があります。

コカイン経験者の割合は、

  1. 近頃の若者5.5%
  2. かつての若者5.9%

マリファナ使用率はやや増加傾向ですが、若者の飲酒率は確実に下がっています。

安全

シートベルトの着用率は、

  1. 近頃の若者が92.4%
  2. かつての若者は80.9%

殴り合いのケンカをしたことがある割合は、

  1. 近頃の若者が24.7%
  2. かつての若者は42.5%

過去30日以内に銃を携帯したことがある割合は、

  1. 近頃の若者が5.5%
  2. かつての若者はデータなし

1カ月以内に武器を学校に持ってきたことがある割合は、

  1. 近頃の若者は5.2%
  2. かつての若者はデータなし

ここ1年の間に自殺を真剣に考えたことがある割合は、

  1. 近頃の若者が17%
  2. かつての若者は29%

このように、大人たちが考える若者に対する偏見とは反対の結果になりました。

自殺を考えたことのある割合などは、日本だと現在の若者のほうが多いかもしれませんが、ほとんどの結果は日本人でも同じになるのではないかと思います。

おすすめの本

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