幼い頃から読書をしているメリットってあるのかな?
現在では、スマートフォンなどで電子書籍を簡単に読むことができる時代になりました。
電子書籍は本嫌いの子どもの読書を促進する可能性を秘めていることが明らかになっていますが、紙の本に囲まれた環境で育った子どもは、そうではない子どもと比べて、何かしらの変化があるのかどうかを調べた研究がありますので、今回はそちらをご紹介していきたいと思います。
また、最近の若者は読者離れをしていると考えられていますが、実際に読書離れをしているのかどうかということもご紹介したいと思います。
では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。
本の量と収入
マルクス・トゥッリウス・キケロ
本のない部屋は、魂のない肉体のようなものだ
ローマの哲学者であるマルクス・トゥッリウス・キケロは、このような名言を残しているほど、昔から本は素晴らしいものと考えられていました。
今回の研究は、人間が生涯で得る収入と、子どもの頃の家庭環境との関係を調べるため、ヨーロッパの9カ国で6000人を対象に調査を実施しました。
ヨーロッパ全土で義務教育の卒業年齢が引き上げられた1920年から1956年の37年間を対象に、10歳の時点で、以下の5つを比べて家庭環境ごとに収入を調査しました。
しかし、高等教育を受けている人の中でも、家庭環境の違いによって収入は著しく異なることが判明しました。
例
例えば、ほとんど本のない家庭で育った人は、高等教育を受けても収入の増加幅は5%でしたが、多くの本に囲まれて育った人はなんと21%も増加していたのです。
特に田舎ではこの傾向が強く見られることが判明しました。
また、家庭に置いてある本の冊数で、その家庭で育った子どもの認知力テストの点数をある程度推測することもできるとのことです。
つまり、後の人生で経済的に成功するために重要な認知スキル・社会経済的なスキルがどれだけ向上するのかは、子どもの頃の家庭環境に大きく影響されることが示されているのです。
若者の読書離れについて
1990年代半ばから「読書離れ」が指摘され始め、スマートフォンやタブレットの普及により、さらに読書離れが目立ってきているような気がします。
ところが、16歳以上のアメリカ人6224人に読書に関する調査を実施したところ、「若者の読書離れ」という言葉に疑問を感じざるを得ない結果が出ました。
アメリカでは、図書館に実際に足を運んで利用する人の数は減少しているものの、図書館のウェブサイトを利用する人の数は増加しています。
30歳以下の人で実際に図書館を訪れている人は全体の50%で、減少しましたが、ウェブサイトの利用者は28%から36%まで増加しています。
30歳以下の人の間では、30歳以上と比べて図書館の利用方法が変化しているという結果が出ました。
一方で日本では、ライフメディアのリサーチバンクが10代から60代の男女を対象に読書に関する調査を毎年実施しています。
リサーチバンクの調査では1年に1冊以上本を読む人の数が減少傾向にありますが、年代別の読書割合は発表されていません。
スマートフォンやタブレットの台頭により「若者の読書離れ」が指摘されることがある一方、20代および30代の男性が60代よりも本を読んでいるという調査結果が出ており、アメリカ・日本における読書離れは、若者の間でだけ起こっている現象ではなさそうです。
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