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【効率の低下】スマホが勉強に与える悪影響について

男性

スマホは勉強に悪影響なの?

学生の人はスマホで動画を見ながら勉強したり、音楽を聴くために近くにスマホを置いていたり、使わないけれどなんとなく近くに置いて勉強する人がほとんどなのではないでしょうか?

たとえスマホを触るつもりがなくても、通知が来た途端スマホに意識がいってしまい、集中力が切れてしまった経験がある人もいると思います。

最新の研究では、例え電源が入っていなくても「スマートフォンが見える場所にあるだけ」で人間の脳の処理能力が消費され、仕事や勉強のパフォーマンスを低下させる影響があることが明らかになってきていますので、今回はこの研究についてご紹介していきたいと思います。

この記事でわかること

  • スマホが与える勉強や仕事への影響について
  • スマホに依存してしまう理由

この記事を読むべき人

  • 作業効率を上げたい人
  • 勉強をしている人
  • 仕事の効率を上げたい人

では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。

身近にあるスマホと脳の認知能力の関係

テキサス大学オースティン校の研究チームは、800人のスマートフォンユーザーを対象に、実際に使用していなくてもスマートフォンが身の近くにあるだけでどのような影響を与えるのかを調査する実験を行いました。

研究内容

実験の1つでは、研究チームは深く集中しないとクリアできない課題を参加者に与え、脳の認知能力がどれほど発揮されているかを確かめました。

実験の前には、参加者の中からランダムに選んだ人に対して、

  • スマートフォンを机の上に画面を下にして置く
  • ポケットに入れる
  • バッグに入れる
  • 隣の部屋に置いておく

これらのいずれかの指示を与えました。

また、全ての参加者に対して、スマートフォンをサイレントモードに設定しておくよう指示が行われました。

そして、それぞれに与えられた指示の状態で課題に取り組ませました。

研究結果

スマートフォンを隣の部屋に置いたグループが最もよい結果を示し、机の上にスマートフォンを置かせたグループが最も悪い結果を残しました。

また、ポケットに入れさせたグループとバッグに入れさせたグループは、隣の部屋に置かせたグループよりもやや低い結果を残しています。

研究チームはこの結果から、「例え全力で取り組まなければならない課題が与えられていたとしても、自分の近辺にスマートフォンがあるほど意識がそちらに引っ張られ、脳の認知能力の一部が消費されてしまうことが明らかになった」と言う見方を示しています。

ブレイン・ドレイン

結果からは、スマートフォンがその存在に気付きやすい位置にあればあるほど、被験者の脳の認知能力が減少することを示す、リニアな傾向があることがわかりました。

たとえ、意識的な部分でスマートフォンのことを考えていないとしても、頭の中にある『何かを考えないようにしなければいけない』という脳のプロセスが、脳の認知能力の一部を消費してしまうのです。

これは『ブレイン・ドレイン』(脳資源の流出)です。

スマホ依存と認知能力

また、同チームが実施した別の実験では、被験者が自分で「スマートフォンに依存している」と考えていることが認知能力にどれほどの影響を与えているのかが調査されています。

研究内容

この調査では、前述の際と同じように参加者に対して課題に取り組ませており、ランダムに

  • 机の上に画面を上にして置く
  • ポケットかバッグの中にしまう
  • 別の部屋に置く

という指示が与えられており、さらに何人かの被験者には、「電源をオフにする」という指示も与えられたとのことです。

研究結果

この実験からは、「自分はスマホ依存症である」と思っている人はそれほど依存が強くないと考えている人に比べて悪い結果を残したことが明らかになっているのですが、その結果が現れたのは、こちらも机の上かポケットまたはバッグの中に置いておかせた場合だけだったとのことです。

さらに、スマートフォン本体の電源がオンであるかオフであるか、また、机の上で上向きなのか下向きなのかという違いは、結果に大きな違いがなかったことを発見しています。

一番の作用

最も大きく作用したのは、スマートフォンが目の前に置かれていたり、すぐに手の届く範囲に保管されているということを知っているときであり、「スマートフォンのことを考えないでおこう」と脳が無意識で考えることが、脳の能力の一部を消費してしまっていることが浮き彫りになっています。

スマートフォンがただそこにある、それだけで人の認知能力は低下してしまうのです。

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拡張された自己の一部

私たちの自己意識は、胎内にいるときに形成されます。

しかし、自己の発達は、生まれた後に加速します。

生まれたばかりの赤ちゃんは、まず第一に、主な養育者に、そして後には物に執着し、「拡張自己」と呼ばれるものを獲得していきます。

20世紀を代表するアメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは、いち早く「拡張された自己」を主張しました。

ジェームズは『心理学原理』の中で、自己を「肉体や精神力だけでなく、服や家、妻や子供など、自分のものと呼べるものすべての総体」と定義しました。

この自己の延長線上にあるもの、つまりお金やその他の大切なものを失うと、大きな喪失感を味わうことになると説明しています。

例えば、乳幼児がおしゃぶりやお気に入りのおもちゃを失うと泣くのは、「拡張された自己」の一部です。

携帯電話も同じような役割を果たしていると思います。

みなさんも、携帯電話を落としたり、見つからなかったりすると、急に不安になることがよくあると思います。

このことは、多くの人が携帯電話をチェックする頻度にも反映されています。

研究結果

カリフォルニア州立大学の調査によると、1980年代および1990年代に生まれた人の51%が、15分以上デバイスをチェックできない状態が続くと、中程度から高いレベルの不安を感じることがわかりました。

興味深いことに、1965年から1979年の間に生まれた人たちは、この割合がわずかに下がり、42%となります。

これは主に、彼らが生まれた時代に携帯電話のテクノロジーが普及し始めていたことによるものです。

このグループでは、携帯電話が自分の一部になったのは、10代後半から若年層になってからである。

思いやりのある関係を思い出す

携帯電話を持つと、子供の頃や大人になってからの親密な関係を思い出すことができます。

脳内化学物質のドーパミンや恋愛ホルモンのオキシトシンなど、依存症の「高揚感」に関与する物質が作用します。

これらの化学物質は、帰属感や愛着を生み出すものでもあります。

携帯電話を持つことは、親が子供を愛情深く見つめるときや、恋人同士がお互いの目を見つめ合うときと同じ効果があります。

神学的な考察も、ドーパミンとオキシトシンについて私たちが学んだことを裏付けています。

例えば、ユダヤ・キリスト教の伝統では、神は親密な存在であり、顔を合わせる機会を求め、思いやりのある環境を作り出す存在であるとされています。

人類学者であるマイケル・タウシグは、私たちがより良い自分、あるいは異なる自分になろうとするとき、「コピーし、模倣し、モデルを作り、違いを探求する」のが私たちの第二の本性であることを指摘しています。

携帯電話はそれを手助けしてくれます。

写真を撮ったり、画像を加工したり、ディスカッションに参加したり、自分撮りをしたり、他人に連絡を取ったりします。

テキストをやり取りすることで、私たちは会話を紡ぎ出します。

検索することで、私たちは(たとえ知恵がなくても)知識を得ることができます。

そうして私たちは、洞窟の壁に絵を描き、火を囲んで物語を語っていた祖先たちと一緒になるのです。

スマートフォンを使ったインターネット検索が急増していることは、驚くべきことではありません。

私たちは、携帯電話を片手に生きる運命にあるようです。

テクノロジーとの共存

そうは言っても、時には、実際に顔を出して、変化を起こすことも必要だと研究者は主張します。

私たちの空間や人間関係を小さなスクリーンや「街の広場」に限定してしまうと、失望することになりかねません。

私たちは、誰かと触れ合い、誰かの目を見つめるような親密な関係を必要としています。

また、深いつながりを築くことができ、休息や遊び、発見ができる空間も必要です。

私たちの中には、最新のiPhoneを購入したり、オンラインに挑戦したりするためにタウンスクエアに向かう人もいますが、テクノロジーの歴史家であるメルビン・クランツバーの言葉を思い出してみるのはいかがでしょうか。

おすすめの本

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