なぜ爪は伸び続けるのだろう?
人間は、胎内に入って20週目になると、突然小さな手足の先に固い小さな袋が生えてきます。
生まれてくる頃には、手足の指先には、一生付き合うことになる完全な形の爪が生えています。
その後、数十年に渡って、一般の人は何百時間もかけて爪を切ったりヤスリをかけたりします。
しかし、このような美意識を超えて、自分の爪が何のために存在しているのかを考える人は少ないでしょう。
ですので今回は、爪はなぜあるのか、なぜ伸びるのかについてご紹介していきたいと思います。
では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。
爪の仕組み
爪は、髪の毛と同じケラチンという硬い物質でできていることはよく知られています。
しかし、実は爪は生きた細胞から始まっているのです。
手足の指の甘皮の裏、皮膚のすぐ下にある「根元」と呼ばれる構造体では、生きた細胞が作られ、それが爪になります。
この小さな肉のポケットは「マトリックス」と呼ばれ、血管とつながっていて、爪が新しい細胞を作るために必要な栄養素を供給しています。
爪の根元で角質細胞が形成されると、新たに形成された角質細胞に押されてゆっくりと前進していきます。
皮膚の下から表に出てきた古い細胞は、平らになって固まり、爪甲の丈夫なシールドを形成します。
爪は、ネイルアートのための完璧なミニチュアキャンバスであり、たまに傷がついたときに役立つかもしれませんが、私たちがこの複雑で絶え間なく成長する構造を進化させた本当の理由は何なのでしょうか?
爪が成長する構造の進化
爪が成長する答えは、「霊長類の祖先がどのようにして木の上の生活に適応したか」に関係しているようです。
化石の記録によると、霊長類または霊長類の近縁種が最初に指に爪を進化させたのは、霊長類が木に閉じこもっていた5800万年前から5500万年前の間だと言われています。
一般的に、霊長類は慎重に木を登るのが得意であり、その作業を達成するための特徴として爪が出現したと考えられます。
他の動物に比べて、霊長類の指はかなり幅広です。
進化論的に言えば、爪がこの方程式の中に入ってくるのは、手足の幅広い肉厚のパッドを支える足場のような役割を果たしているからだと考えられます。
爪があることで、手足の形が維持され、肉球の表面積が大きくなります。
指や足の肉を押さえると、爪と平らになります。
爪はこの広い表面積を支えることで、グリップ力を向上させ、より自信を持って木の上を移動できるようにしたのです。
爪の重要性
霊長類は、他の樹上生活者に比べて、食べ物を掴みにくい枝の端で果物を採るのが得意です。
研究者たちは、他の樹木に生息する動物と比較して、霊長類は食べ物に手を伸ばしたり掴んだりするのが難しい枝の端で果物を採るのが得意であることを観察しています。
研究者たちは、爪には進化上の保護機能もあると考えています。
つまり、手足の指先を覆う小さな盾のような働きをしているのです。
私たちの手足には何千もの神経が張り巡らされており、それらは私たちを取り巻く世界を察知するための非常に繊細なツールへと変化しています。
霊長類の一系統であるヒト科の祖先が樹上から降りてきたとき、この器用さ、繊細さ、強力なグリップ力は、道具を作り、操作し、使用するのに役立ちました。
このような適応が、今日の人間の手の作業の基礎となっているのです。
なぜ爪は成長するのか
しかし、爪がそれほど重要であるならば、歯を保護するエナメル質のように、なぜもっと永続的なものでできていないのでしょうか?
言い換えれば、実際に成長する爪にはどんな利点があるのでしょうか?
爪が損傷したり破壊されたりしても、私たちの繊細な指にとっては大惨事にはなりません。
ちょっとしたリハビリをすれば、大切な指は再び守られるのです。
爪の成長の重要性を理解するもう1つの方法は、私たちの体がコストをかけてもこの適応を続けてきたことを理解することです。
しかし、何千年もの間、私たちが爪を伸ばし続けてきたという事実は、この多大なコストに見合うだけの利点があることを示唆しています。
死後も髪や爪は伸びるのか
不気味な質問ですが、人が死んだ後も、髪の毛や爪は伸び続けるのでしょうか?
一見するとそうは見えないかもしれませんが、簡単に言うと「いいえ」です。
皮膚が縮むことで、皮膚の下にあった爪や髪の毛が露出し、以前よりも長く見えるようになります。
通常、指の爪は1日に約0.1mm伸びると言われています。
しかし、爪が伸びるためには、体を動かすための単純な糖質であるブドウ糖が必要です。
体が死んでしまうと、グルコースがなくなってしまいます。
ですので
- 皮膚の細胞
- 髪の毛の細胞
- 爪の細胞
この3他の細胞は、もはやターンオーバーして新しい細胞を生み出すことはないのです。
それにもかかわらず、大衆文化はしばしばこの事実を間違えていることが多いようです。
今回の研究では、「西部戦線異状なし」という本の中で、主人公が死んだ友人の爪が死後にコルク栓のように伸びることを想像していたという。
ですので死後には爪や髪は伸びることがありません。
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