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【食べても太らない理由】太る人と太らない人の違いについて

男性

自分は食べたら太るのに、同じものを自分よりも食べている周りの人たちは、なぜ太らないのだろう?

肥満や血糖値の上昇などの対応策というのは広く考えられています。

その中でも最もよく知られているのが食事制限による栄養管理といえますが、実はその方法は必ずしも万能ではなく、人によっては正反対の結果が生まれることが明らかになっているのです。

実は、同じものを食べても「太る人」と「太らない人」がいて、その背景には、それぞれの人に固有のある要因が隠されているということもわかっていますのでご紹介していきたいと思います。

この記事でわかること

  • 食べ物でも太らない理由について

この記事を読むべき人

  • 食事制限をしても痩せない人
  • 食べても太らない人の理由を知りたい人
  • 太っている人

では、早速ですが本題に入っていきたいと思います。

食べ物が体に与える影響について

医師であるSaleyha Ashan(サレイハ・アシャン)さんは持病があり、2型糖尿病の家系を持つアシャンさんは、普段から食べるものに気を遣って健康管理を心がけています。

しかし、好きなものを好きなだけ食べても全く太ったりしない友人を見て「私たちは『ダイエットとはどういうものか』について間違った知識を持っていたのではないか」と考えたようです。

2015年末、アシャンさんはワイツマン科学研究所の研究チームが実施する研究に加わるため、イスラエルを訪れました。

そこでは、1000名の被験者を対象にした研究が行われており、1分ごとに体の状態をモニタリングすることで、食べ物が体に与える影響について詳細に調査されていました。

人が何かを食べると、摂取された食べ物は体内で消化されて糖となり、血液によって体内に送り出されます。

この糖の値が「血糖値」であるのですが、健康を語る上においては「血糖値の上昇と下降のスピード」が大きな意味を持っています。

体内で血糖値が急激に上昇すると、血糖値の上昇を抑制するためのホルモンである「インスリン」が分泌されます。

インスリン

インスリンは脂肪の合成を促進するほか、体内の脂肪組織に対して糖の取り込みを促すなどの働きを持っているため、体内に脂肪が蓄積されることになります。

脂肪を必要以上にためない(=太らない)ためには、血糖値の上昇を緩やかにすることが大切であり、そのための指標として「GI値(グリセミック指数)」が提唱されています。

GI値の低い食材は血糖値の上昇を抑えるため、インスリンの分泌が起こりにくくなって脂肪が合成されにくくなる、というのが論理の大まかな流れです。

しかし、アシャンさんが加わった研究チームによると、この論理はそれほど単純なものではないとのことです。

GI値は確かに重要な指標にはなり得るものの、その実態は人によって大きく左右されることが実験の結果から明らかにされています。

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食べ物の影響は人によって異なる

研究に加わったアシャンさんは身体検査を受けたのですが、それに加えて血中のグルコース値を測定するための装置を皮下に埋め込まれました。

この装置を使って血液の状態を事細かにモニタリングしながら、アシャンさんは6日間にわたって特別の食事プログラムを取り入れた日程をこなすことになりました。

アシャンさんはもう1人の女性、Leila(ライラ)さんとチームを組み、日々の生活の中で全く同じ食事をとりながら6日間を過ごします。

約1週間の調査が終了し、得られたデータを比べると、なんと全く同じ食事をとっていたにもかかわらず、2人の血液の状態は実に対照的なものであったことがわかりました。

調査結果

例えば、Ashanさんにとって「パスタ」は血中のグルコース値を上昇させる悪い食べ物だったのですが、一方のLeilaさんにとっては問題のない良い食べ物だったのです。

逆に、ヨーグルトはLeilaさんにとって悪い食べ物だったのが、Ashanさんにとっては良い食べ物だったりと、2人の反応はまさに「正反対」と言えるものだったのです。

この様子からは、「GI値の高い/低い食べ物」に対する反応は誰についても同じ普遍的なものではないという、一般的な理解を超える実態が判明しています。

人によって異なる理由

その違いの原因は、2人の「」の中に存在しているようです。

両者は同じ食事をとるのと同時に、日々の排せつ物を研究チームに提出していました。

研究者は2人の排せつ物に含まれるバクテリアや細菌を詳細に分析した結果、両者の腸内に存在している細菌などの状態が、全く異なることも明らかになってきたのです。

人間は食べたものを胃で溶かし、小腸から大腸へと流す間に消化して栄養素を体内に吸収します。

この時に食物の分解を行うのが腸の中に住んでいる無数の細菌やバクテリアです。

これらの細菌類は腸の中でそれぞれの「コミュニティ」を形成しており、近年はそのバラエティ豊かな組成の様子をもとに「腸内フローラ」という呼び方も良く知られるようになっています。

そして、この腸内フローラを形成する細菌は、食べ物に対する体の反応すらも変えてしまう働きがあることが次第にわかってきています。

研究チームは、他の何百人という被験者のデータを集め、体内の細菌の様子と血糖値の変化データを照らし合わせることで、腸内の細菌は食べ物に対する血糖値の変化における重要な要素となることを解き明かそうとしています。

この研究が進むと、それぞれの人にとって何が「良い食べ物」で、何が「悪い食べ物」であるのかが簡単にわかるようになり、それぞれの人が自分にとって正しい食べ物を把握できるようになるとのこと。

そうすることで、日々の健康管理やダイエットはもちろん、糖尿病などの病気に苦しむ人々にとって画期的な治療方法が考案されることにもつながる可能性を秘めています。

さらに、研究チームは「腸内フローラ」を人為的に置き換える研究も視野に入れているとのことです。

これが成功すると「人々は自分の好きなものをいくら食べても健康に被害を受けない」という日がやってくるのかもしれません。

おすすめの本

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